ハクスリー

オルダス・レナード・ハクスリー(ハックスレー)
Aldous Leonard Huxley, 1894-1963

[伝記]
ハックスレーはイギリス・アメリカの作家、思想家。T.H.ハクスリーの孫。1894年、イギリスのサリー州ゴルトミングに生まれ、1913年にオックスフォード大学のベイリオル・カレッジに入学し、英文学と言語学を学んだ。翌1914年に第一次世界大戦が勃発するが、オルダスはその視力が原因で兵役を免れることが出来た。大学卒業後の20代で作家としてデビューし、のちに神秘思想に傾倒し、著作活動を続ける。1963年、アメリカカリフォルニア州ハリウッドで死去。

[概要]
・合理主義者、人間主義者として知られていたが、第二次大戦直前期から、一種の神秘思想を奉じる。

・『永遠の哲学The Perennial Philosophy』(1945年)では、古今東西の神秘主義者の思想を引用抜粋し、神的な実在を認識した人間の思想を研究した。これは宗教経験についての文献を広く東西に求め、それらを解釈し敷衍したうえで、全体が一つの体系をなすように組み合わせようとした著作。認識は存在の機能であるゆえに、存在の仕方を変えることにより、認識の量も質も異なってくるのであり、道徳的あり方を変革することによって深い洞察と新しい思想を世界に関して持ちうると考える。したがって、宗教的認識を得るためにはまず心の貧しく清き者とならなくてはならないという。宗教的認識においては、それを獲得するための前提条件を善い生活によって満たした人の言説のみが権威あるものなのであって、「経験的神学」は、聖者の言説にその神学の基礎を求めるべきであったという。「経験的神学(マッキントッシュやワイマンなどの)」は、宗教的経験全体を無差別に取り上げて分析し、乱暴にもこれに共通するものを明らかにしようとしたため成果をもたらさなかった。

(鶴見、265頁以下を参照。)

[主要著作]
『ポイント・カウンター・ポイント』
『目的と手段』
『本文と前文』
『永遠の哲学』(1945年)
Science, Liberty and Peace, 1947.
『星霜を経て白鳥は死す』
『知覚の扉』(1954年)
『天国と地獄』(1956年)
『島』(1962年)

[参考文献]
・鶴見俊輔『アメリカ哲学』、講談社、1986年。

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