クワイン

クワイン
Willard van Orman Quine 1908-2000

[伝記]
クワインはアメリカの哲学者で、とりわけ論理学・分析哲学の功績が評価されている。彼は1908年にオハイオ州・アクロンに生まれ、オバーリン大学を卒業。ハーヴァード大学で博士号を取得したのち、同大学哲学科の教授となる。当時ハーヴァードに留学していた思想家の鶴見俊輔が教え子であることも知られている。

[思想]
1951年に発表された「経験主義の二つのドグマ」は衝撃的な印象を当時の哲学界にあたえた。それは現代経験論にとって、当然の前提とされていた信念が、実はその根拠がないことを暴露する内容であったからである。すなわちそれは、①分析的真理と総合的真理の間には断絶があるという信念、②有意味な命題はすべて直接的な経験をさししめす言葉から論理的に構成されたものであるという信念、である。「どちらのドグマにも根拠がないと私は論じる。これらのドグマをすてさることの一つの結果は、あとでみるように、思弁的形而上学と自然科学のあいだにあると考えられてきた境界がぼやけてくることである。もうひとつの結果は、プラグマティズムへの移行である。」

[邦訳著作]
・『現代論理入門――ことばと論理』杖下隆英訳、大修館書店、 1972年。
・『論理学の方法』中村秀吉・大森荘蔵訳、岩波書店、1961年。
・『論理学的観点から――9つの論理・哲学的小論』中山浩二郎・持丸悦朗訳、岩波書店、1972年。
・『論理的観点から──論理と哲学をめぐる九章』飯田隆訳、勁草書房、1992年。
・『ことばと対象』大出晁・宮館恵訳、勁草書房、1984年。
・『集合論とその論理』大出晁・藤村龍雄訳、岩波書店、 1968年。
・『論理学の哲学』山下正男訳、培風館、1972年。
・『哲学事典――〜とは何であるかを考える』吉田夏彦・野崎昭弘訳、白揚社、1994年 。
・『哲学事典―AからZの定義集』吉田夏彦・野崎昭弘訳、筑摩書房、2007年。
・『真理を追って』伊藤春樹・清塚邦彦訳、産業図書、1999年。

(魚津、292頁―を参照。)

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